男の子の体とこころの悩み


■男の子の体と心のコラム

第1回 毛が生えてきた…!
第2回 包茎かな?
第3回 精通って?
第4回 安全なマスターベーションって?
第5回 マスターベーションについての嘘
第6回 女みたいなヤツ・・・
第7回 性はグラデーション
第8回 ちょっとあそこがかゆい・・・

■第1回 毛が生えてきた…!

Q:今度修学旅行があるんだけど、お風呂入る時、海水パンツはくのかな?温泉なんかは知らない人ばっかりだけど、今度はクラスのヤツらとだし何か嫌だなぁ。実はさ、あそこにちょっと毛が生えてきてるんだよね。「すげー」とか言われたら恥ずかしいじゃん。
A:陰毛(チン毛)が生えるのは男性が10歳以降と言われていますが、人によってかなり差があります。ペニス(ちんちん・ちんこ)の大きさも、人によって大きさが違います。それは、人によって身長が違うのと同様です。また、お風呂やトイレで見えてしまう他の人のペニスは大きく見えて、それに比べて自分のペニスは小さく見えるのは、見る角度の問題もありますから心配しないでね。

将来子どもを作る時のことを考えると、勃起して5cmもあれば問題ないと言われていますから、大きさだけで劣等感や優越感を持つより、人間としての豊かさや心の大きさで自身がもてるようになってほしいと思います。

修学旅行のお風呂の海水パンツは衛生上よくないから、タオルで隠すくらいのマナーで考えてほしいな。

■第2回 包茎かな?

Q:包茎ってHするの難しいって聞いたけど、いつ頃までにむけてないといけないのかなぁ?学校じゃそういうこと教えてくれないし、周りのみんなもむけてるヤツいるみたいで、ちょっと焦るかな?
A:外国では割礼(かつれい)っていって、宗教的な儀式として赤ちゃんの時に手術でむいちゃう国もあるらしいよ。民族や人種によって差があるみたいだけど、日本人は20歳くらいの時に自然にむけるくらいで、それまではむけてないんだってさ。中には雑誌の広告にある病院でお金をかけてむく人もいるけど、将来子どもを作る時にむければそれでいいって。だから遅れててもいいんじゃないかな。

自分でむく方法もあるみたいで、お風呂に入る時の皮膚が柔らかい時に少しずつむく練習をするんだって。最初はむいた所が痛いから、急がず毎日少しずつ練習して、皮膚に癖をつければいいみたいだよ。無理をしてむくとバイ菌がついたりして他の問題が生じることもあるから、決して無理しちゃいけないよ。

包茎に悩む思春期の男の子は多いようですが、多くの場合成長とともに問題なく解決していきます。包茎はセックスへの心配よりもむしろ清潔を保たないと様々なバイ菌の温床になってしまうことに気をつけましょう。

【解説】
包茎:包皮が亀頭部を覆っている状態のこと。医学的には性交時に勃起して亀頭を露出できる仮性包茎であれば何ら問題はないと言われています。

亀頭:陰茎の先端部分のふくらんでいる部分

包皮:亀頭部を包む皮膚のこと

■第3回 精通って?

Q:この前、朝起きたらさ、パンツにドロッとした白いのが付いててさ、あそこから出たんじゃないかと思うんだ…。あそこがなんかヤバイ病気かと心配で。
A:それはおそらく精通って言って、男性で初めて精子が出ることです。思春期の男の子には誰にでもあるんだ。最初はビックリするかもしれないけど、精通は病気じゃないから心配しなくていい。男性の精子と女性が作る卵子とが結びついて(受精して)子どもができるんだから、精子が出るのは将来子どもを作る時に必要な、当たり前のことだよ。

寝ている間に自然に起こることもありますが、これを夢精といいます。膿のような白い液体が出るので、最初は病気かと心配になる人もいるでしょうが、大人になるための自然な身体現象で、病気ではないので心配する必要はありません。個人差がありますから、遅い早いの心配はいりません。もし心配な場合には、保健室の先生や泌尿器科の先生に確認してもいいと思います。ちょっと恥ずかしくても、専門の人に直接聞くのが一番安全で間違いないらしいよ。

■第4回 安全なマスタベーションって?

Q:Hな本とかみてたら、変な気分になっちゃって、ドキドキしちゃって、うちに帰ってからマスターベーションしちゃったんだ。でも、これあんまりよくない気がして。正しいやり方ってあるんですか?何回までなら大丈夫かな?
A:精通がまだ始まっていなくとも、つまりまだ射精はなくとも、マスターベーション(オナニー)をすることは普通です。これは男性だけではなく女性も同じです。男女にかかわらず、1日にマスターベーションをする回数に適正回数というものはありません。医者によっては「何回でもOK。若いうちはチャレンジしてみろ」なんて言う人もいるから、回数は気にしない方がいいと思うよ。

マスターベーションは日本語で「自慰」と書きますが、文字通り自らの意志で行うものです。決して人に見せたり、強要されるものではありません。マスターベーションはいけないことではありませんが、人に不快感を与えないような場所で、一人で行うというマナーがあることも覚えておいてほしいと思います。自分でしたくなる時にすればいいから、やり方が分からないのに無理してするもんじゃないし、人から勧められてするもんでもないからね。

それから自分の身体を傷つけるような、危険なマスターベーションはしないように心がけましょう。まず、バイ菌が入らないように汚い手ではマスターベーションしないこと。それから、皮膚を傷つける恐れのあるとがったものとか、(人の力より)強すぎる力が入るような道具を使わないことです。一生付き合う自分の身体の大事なところだから、自分でも大事にしてすることです。自分の手以外の道具を使うと、予想以上の力が加わって傷つけたりすることがあるらしいし、将来射精しにくくなったりすることもあるから、危険だって。だいたいマスターベーションで怪我して親に病院に行かせてって言いにくいだろ。

マスターベーションは男女を問わずするけど、気持ちがいいということが大切だから、個人によって決まったやり方なんてない。スラスト運動ってやり方は、ペニスがついている男性のやり方の一つだね。まず自分の手で軽くペニスを握る。そして軽く前後というか上下に往復させる運動だけど、あまり強く握ると、将来射精障害の原因になるかもしれないから、気持ちいいくらいの力でやってください。

■第5回 マスターベーションについての嘘

Q:射精しすぎると、最後には赤玉が出て、それ以降精子が出なくなるっていうのは本当の話なんですか?やりすぎるとバカになるっていうのはホント?
A:そんな医学的根拠は聞いたことないなぁ。少なくとも、そんなに早く精子はなくならないよ。何せ自分の子孫を残すために必要なものだからね。マスターベーションしすぎるとバカになるっていうのも医学的根拠はないよ。昔の人がマスターベーションばっかりして勉強も仕事も手につかないことを戒めて作った言葉なのかもしれないね。

猿がマスターベーションを覚えたら死ぬまでやるというウワサも嘘で、猿もマスターベーションはするけど、ちゃんと終わりもあるんだってさ。ただ人と違うのは、他の猿から見える所でマスターベーションをすることがあるっていうことくらいかな。逆に言うと、人前でマスターベーションをすることは猿と同じ事をしているということになるかな?(笑)

それから、「ずっとマスターベーションしないと溜まって精子が腐るから適当に出さないといけない」っていうウワサも嘘です。精子は腐りません。ちなみにもっと言うと溜まりません。

確かにずっと射精していないと、睡眠中のわずかな刺激で射精してしまう(夢精)ことはあるけど、たまったような感じがするのはイメージだけで、精巣にいっぱいになった精子は古いものから自分の体に吸収されていくんだ。だからよく言われる「溜まる」というのは医学的にはあまり正しくない。ましてや生きている人間の体の中で腐るなんていうことが起こるとしたら、その方が病気。

性についてはなかなか聞きにくいかもしれないけど、お医者さんに行くのが抵抗あるんだったら、学校の保健の先生や親に聞いたらいいよ。誰でも聞きやすい大人を見つけて聞いたらいいと思うよ。マスターベーションはマナーを守って安全にすれば、従来言われているような危険性はないはずなんだ。男女ともにマスターベーションはするし、マスターベーションは老若男女全ての人のものなんだ。

また、将来結婚してセックスをするパートナーができたらしないというものでもない。セックスは二人いないとできないけど、マスターベーションは一人でできるから、相手の体調が悪かったり望まない時には、セックスを我慢してマスターベーションですませることができるような関係の方が、真に相手を思いやった、より良い男女関係が築けるという考え方もあるんだよ。そういう意味では、マスターベーションとは結婚をした後も付き合う一生涯のお付き合いってことだから、安全で自分にあったマスターベーションを心がけなきゃね。

■第6回 女みたいなヤツ…

Q:クラスにナヨナヨしたやつがいるんだけど、なんか女の子みたいなんだよ。それに、風呂で人のペニスばっかジロジロ見て何か気まずかったんだ。男子の中にはそいつをあからさまに「女男」なんて言っていじめるヤツもいるけど、あいつ、どうなってるんかな?
A:いいんじゃないか?いろんな人がいても。いいじゃないか、違っても。見られるのが嫌なら、そう相手に言ったらいい。その方がお互いのためだよ。

「好きなヤツいる?」って聞かれて女の子の名前しか思い浮かばなかったら、きみは異性愛者なのかもしれないけど、世の中には、異性に恋愛感情をもつ異性愛者と、同じ性に恋愛感情をもつ同性愛者と、どちらも好きな人と、どちらもあまり好きになれない人がいるらしいんだ。しかも、日本でも欧米でも3~10%、つまり1クラスに1人以上は同性愛者がいることが調査で分かっているらしい。世の中には男と女しかいないから異性愛者しかいない、というわけではないんだと思っておいた方がいい。

【解説】
自認している性とは違う性(つまり男性にとっては女性、女性にとっては男性)に恋愛感情や性的欲求の対象が向くことを異性愛、同性(男性にとっては男性、女性にとっては女性)に向くことを同性愛、性別に関係なく向くことを両性愛、恋愛感情や性的欲求がない・薄いことをア(エイ)・セクシュアルと言います。

日本でも(世界の他の国でも)3~10%の人が同性愛者だと言われています。

現在WHO(世界保健機構)では同性愛が病気や治療の対象ではないとしています。日本でも厚生省(現厚生労働省)や日本精神神経学会(医師等の学会)がこれを採用しています。異性愛者が同性愛者を差別したり、同性愛者が卑屈になったりせず、全ての人がそれぞれの指向をもって共生しているということを知り互いに尊重しあえる社会になることがこれからの望まれる方向だと思います。

(※参考文献:季刊セクシュアリティNO.18 エイデル研究所 平成16年10月15日発行)

■第7回 性はグラデーション

Q:僕は男だけど、スカートとかはきたいと思うし、お風呂に入ったとき家族のが脱いであって、女性用の下着なんかつけてみたりすると、なんか安心する。小さいときに、いとこのお姉ちゃんとかに女の子の洋服着せられて遊んでいたせいかもしれないけど、僕は本当は男じゃないのかもしれないって思うときもあって、変なのかな?
A:自分の性は自分で決めるものらしいよ。だからいろんな性があっていいらしい。そういうのを性自認っていうんだけど、そういう「こころの性」と「体の性」が一致しないこともあるらしい。「こころの性」と「体の性」を同じにするために手術をしたりする人たちもいるし、手術やなんかの必要性を感じなくて装いなどを変えるだけでよくて、自分が指向する性として扱われるだけでOKな人たちもいるらしいよ。

でも、いろいろ悩む人も多いみたい。全国規模で考えれば結構な数の人が悩んでいるから、お互い支え合う会みたいなものもあるらしい。インターネットで探す方法もあると思うけど、各都道府県に必ずある「精神保健福祉センター」に電話して聞けば教えてもらえるらしいよ。わからなければ、関東や関西のような大都市には必ずと言っていいくらいそういう自助グループがあるから、探してみたら必ず連絡先が分かると思うよ。だから、そんな自分に卑屈になったり、ダメだと思ったりしないでほしい。また、そんな友だちがいたら、その人の苦しみを分かってあげてほしいと思うな。

でも、「こころの性」についてもっと言えば、誰の中にも男らしい部分と女らしい部分があって、身も心も100%男とか女とかってのは無いんじゃないかな?とっても優しいところとか女性っぽいかもしれないけど、野球やっているときの顔はワイルドでまさに男って感じがするとか、誰でも男らしさと女らしさの両方をもっていると思う。だから、性っていうのは、男か女かってことじゃなくて、男の要素と女の要素をどのくらいのバランスでもってるかってことじゃないかな?

性が多様でありグラデーション(白か黒かではなく、濃淡のイメージ)である事実を受け入れて、自他共に認めあえるようにしたいものですね。

■第8回 ちょっとあそこがかゆい・・・

Q:このごろ、あそこが痛いようなかゆいような感じで、ちょっと赤くなっているんだけど。ちょっと年上の人とHしたこともあるし、なんか病気うつされたかなって心配なんだけど。
A:セックスをすると、2つのことが起こる可能性が生じます。女性の妊娠と、両性の性感染症です。

性感染症にはクラミジア・淋病・単純ヘルペス・尖圭コンジローマなどがありますが、中には治りにくいもの、繰り返すもの、エイズのように治らないものもあります。また、症状が軽いと、自分ではかかった事に気づかないこともあります。

今若い人で一番多い性感染症は、クラミジアです。ペニスの先から膿が出たり、痛んだりします。しかし、症状が軽くて気づかないうちに感染していることがあるのが、かえって怖い病気です。クラミジアが女性にうつると、その人はお腹が痛くなったり、あまり自覚症状がないうちに、不妊症になったりすることもあります。

淋病は、クラミジアのさらにひどい症状になります。

単純ヘルペスは性器ヘルペスとも呼ばれ、口内炎のような浅い潰瘍が性器にできて、大変痛みます。この病気の怖いところは、いったん治るのですが、必ず再発をくり返すことです。

尖圭コンジローマは、いぼのようなものが性器にできて、大きくなったり広がったりします。再発しやすく、治りにくい病気です。

エイズは、いま日本ではどんどん増えています。20代、30代で発症する人たちが増えていますが、エイズは発症まで10年前後かかりますから、その人たちのかなりの部分は、もう10代で感染していたことになります。また、統計に上がっているのは、検査した保健所で把握している人たちだけですから、気づかないままエイズのウイルスをもっている人たちは、統計の何倍いるか分かりません。あなたたちも、無防備なセックスをすると、いつエイズをもらってもおかしくない時代なのです。

性感染症の怖いところは、自分がそういう病気をもっていると、本当に愛している大切な人に、その病気をうつしてしまうことです。

男性が出張先でした1回だけのセックスでエイズに罹患し、それが奥さんのおなかの中の子どもにまで感染し、悲しいことにその人だけでなく愛する奥さんと子どもまでが一生エイズと闘い続けることになってしまった人もいるのです。

また、命には関わらないけれど厄介な性感染症を大事な彼女にうつしてしまう人は、後をたちません。

特に、相手を次々変えるようなセックスをしていると、確実にもらいます。今は二人が浮気しないで付き合っているとしても、互いに元カレ、元カノジョがいて、その人たちには元々カノジョ、元々カレがいて、その人たちの何人かに一人は必ず性感染症をもっているわけですから、その人たちを伝って、あなた自身やあなたの大切な彼女に、性感染症がうつってきているかもしれないのです。

将来、本当に愛する人と出会ったとき、その大切な人に性感染症をうつすことのないように、性感染症をもらうような人とはセックスしてほしくないし、万一セックスする機会のあるときには、妊娠だけでなく性感染症を防ぐためにコンドームをしっかり使ってほしいです。

また、男の子に知っていてほしいのは、いわゆる風俗の人たちのことで、セックスではなく、オーラルという口を使ったサービスがありますが、その人たちの口の中は、性感染症の巣だと思ってください。性器を使ったセックスではないから安全とは言えないのです。オーラルで、クラミジアや淋病をもらってきてしまう人たちはたくさんいて、とても危険だということを、よく知っておいてください。

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